つづり

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ユーリ!!! on ICE 感想 視聴前

ユーリ!!! on ICE 感想 視聴前

 

ユーリ!!! on ICEをリアルタイムで視聴し、その後、何度か見返した。感想をツイッターで書いたけど、各話ごとの感想をまとめて書こうと思った。

 


はじめに、私はフェミニストクィアで故郷がなくて家族がきらいなので、その視点から感想を書くことになる。感想は私個人のものだから、どこかの立場を代表するものじゃない。ただ、どの作品を見るときも、私がどういう立場にいるかということが、作品の見方に対する傾向に影響を与えると思うので、一応書いておく。

最初にユーリの話題を目にしたのは、2016年の春か夏だったと思う。2016年の冬アニメで、フィギュアスケートを題材にしたアニメがあるという宣伝を見た。それから宣伝用の動画(ティザーPV)を見て、このアニメを絶対に見ようと思った。主要な登場人物が男性で、男性を美しく描いていると思ったり、スケート靴と氷の擦れる音が最高だと思ったり、背景で流れている音楽が好きだと思った。

残念なことに、ちょうどこのアニメを視聴するかしないかという時期に、自分の周囲がごたごたしていた。とにかく疲弊していたので、リアルタイムで視聴していたときは気が立っていて、集中できなかった。やっと集中してもう一度視聴したのは年が明けてからだった。

また、不安に思っていたことがあって、このアニメに関して、「腐向け」だとか「女性向け」という言葉が飛び交っていた。

女性がすることは必要以上に非難され、中傷され、罵倒される。同性愛は憎悪の対象として見られる。女性が同性愛を題材にした二次創作をすると、攻撃の対象にされる。

なんでそんなに攻撃されるのか、というのは多分、男社会の中で「男らしさ」というものが絶対視されていて、その「男らしさ」の枠にあてはまらないと見なされる女性や同性愛は、自動的に見下してもいいと勝手に決めつけられているからだと思う。(フェミニズムの勉強をちゃんとしていないのでこの見方はどこか間違っているかもしれない。)

男社会からの攻撃を避けるために、作品のキャラクターたちを同性で恋愛していると解釈する人たちは、かつて自分たちのことを「腐っている」と表現したのかもしれない。自分を卑下したり、自分の扱っているものはひどいものだと表明したりしなければひどい目にあうから、そうして身を守ってきたのかもしれない。

そうした背景のある「腐向け」という言葉や「女性向け」という言葉が、男社会に順応した人たち(主に男性が多くて、もちろんそれ以外の人もいるけど)から使われるとき、身がすくむような気持ちだ。その言葉に込められた侮蔑的な態度が透けて見えるので。

もうひとつ、不安に思っていたのは、同性愛的な要素を取り入れた作品が、物語の最後になって、同性愛ではなく、異性愛こそが「正しい」ものだ、と明示するような展開になることだった。もしユーリがそんな展開になってしまったら、私はとてもいやだと思った。ただでさえ異性愛が「正しい」という世界に囲まれて生きているのに、アニメにまでその「正しい」という主張をされたら、私は傷つくし、しんどいと思う。

いろいろと不安に思うことがあったけど、このアニメを最後まで視聴した。

感想は、視聴時の感想だけではなく、視聴後にたくさんの人の感想を読んで考えたことや、アニメを最後まで見てもう一度視聴したときの感想を一緒に書こうと思っている。