つづり

このブログは自分のためのメモ帳です。

Voltron: Legendary Defender ファンフィクションのメモ

シーズン1からシーズン3の内容を含む。

Other - TangoDancer - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

カップリングはキースとランス。

拷問への言及、流血、主要なキャラクターの負傷、PTSD、オリジナルキャラクターなどのタグが付けられている。

ランスの家族はかつて彼らの息子で弟だった青年と何とかして折り合いをつけようとする(summaryより)。

ランスの兄から見たランスとキースの話。行方不明になっていたランスが7年ぶりに家に帰ってきた。7年間宇宙にいたというランスは昔と変わらないように見えるが、いまのランスは過去のランスとは違う。そこにキースがやってくる、という話。

ランスは7年前と変わらず、うるさくてのんきで率直だけど、ふとした瞬間に不安や恐怖が差し込む。急に呼びかけられたときに、まるで武器を手に取ろうとするかのように、腰に手を伸ばす。誰かが大声を出したときに、防御姿勢を取る。どこかで皿が割れたときに、ナイフを探し出して手に取る。昔はビーチを水着で歩いていたのに、いまは泳ぐときでさえシャツを脱がない。

夜に外に出たランスを、兄がこっそり追うと、ランスは宇宙製の機器から誰かの心音を聞き、ひとりで泣いている。

そんな中でキースがレッドライオンに乗ってランスの元にやってくる。ランスはキースとの再会を喜んでいるが、家族はキースを心から歓迎できない。キースといるランスは楽しそうで本来のランスのようだけど、そのランスは家族にとって見知らぬ人だ。

戦争の後遺症でランスはPTSDを抱えている。真夜中、ランスにフラッシュバックが起こる。ランスは過去の戦場をさまよい、目の前の現実を認識できず、家族とキースを襲う。その様子を見た家族はランスを恐ろしく思う。

ランスの家族は、戦争を生き延びたランスを受け入れることが難しい。昔のランスに帰ってきてほしいと願い、同時にいまのランスを責めたくないと思う。ランスを変えたのは戦争のせいだと知っているものの、日々のやるせない感情をどこにぶつけたらいいのかわからない。ランスの家族はキースに苛立ちをぶつける。

戦争の後遺症と帰還兵の家族と寄り添う戦友の話が第三者の視点から書かれている。ひとつひとつのシーンの切り取り方が印象的で好きだ。

この話のランスとキースはお互いとても好きだ、という感じが伝わってくる。

ランスがキースを選んだ理由について、キースはランスが誰にも相手にされなかったから最後のあまりものだったキースに声をかけたと思っていて、ランスはそうは思っていない。ランスとキースの間にある認識の相違はアニメの解釈の延長にあって面白い。

(それとは別に、この話でランスがキースを選んだ理由をランスの姉が意地悪く指摘するところで、オリジナルキャラクターだからどれだけ意地悪でもだれも怒らないけど、あんまりそう意地悪に言わせてほしくないとは思った。意地悪な姉というキャラクターが典型的な感じがしていやだったので)

この話では書かれていないけど、ランスやキースはPTSDを専門にした医療機関に通ったり、治療をしたりしているんだろうか。

運よく戦争で殺されなくても、帰ってきた後の日常で生き延びることは難しい。ランスはまだ地球に帰ってきたばかりだ。キースも後遺症を抱えている。この世界のランスとキースが未だ捕らわれている戦場から生き延びて、自分の人生を生きられるようにと願う。

 

Placebo - Chapter 1 - dawnstruck - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

カップリングはキースとシロ。13歳以上の読者向け。

クローンのシロ、性行為に同意があったか少々疑わしい、精神的虐待、ガスライティングなどのタグが付けられている。

このファンフィクションは作者がシーズン3を見て、真っ先に思い浮かべたことだ、とnotesに書かれている。

シーズン3エピソード6でシロがキースに指示をするシーンを、ハラスメントとして解釈したファンフィクションだと思う。シロはもっともらしい言葉を並べて、矢継ぎ早に矛盾する指示をまくしたて、キースを翻弄し、動揺させる。

このファンフィクションでは、そこからさらに踏み込んでいる。キースを支配下に置くために、クローンのシロはもっとも効果的な方法を取る。キースはシロが好きだ。クローンのシロはキースの感情を探り、狡猾に利用する。

クローンのシロが、キースを操り、疲弊させていく様子が書かれている。読んでいてとても怖かった。

クローンのシロの正体は露見するが、その後の展開もつらい。虐待する人間がいなくなったからといって、それまでに受けた虐待をすぐに忘れられるわけではない。自分が悪かったのではないかと悩み、恥ずべきことをしたと自分を責める。

傷つけられ卑小な存在として貶められるような関係ではなく、キースが尊重され、大切な存在だと実感させてくれるような関係を新たに築けるかもしれないというきざしが最後に書かれているので、少しだけ救いが見える。

虐待し傷つける人が悪いのであって、被害にあった人は全く悪くない。

 

Over and Overture - BossToaster (ChaoticReactions) - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

カップリングなし。成人向け。

シーズン3エピソード6を別の視点から解釈した話。クローンのシロは自分のことをシロだと思っている。命からがら戻ってきたけど、シロがいなくてもみんななんとかやれている。シロはブラックライオンに拒否される。シロには記憶が欠けている。焦燥を隠し、なんとか自分の役割を見つけようとして、かえって周りとうまくいかなくなる。

クローンのシロはクローンであっても、シロの精神を持っていて、年長者だから、リーダーだから、自分の問題は自分ひとりで解決しようとする。それがクローンのシロを追い詰める。

何がその人をその人だと決めるのか。記憶だろうか。意志だろうか。

シーズン3のシロは何者なのか、人によって解釈が違っていて面白い。

 

Your Grace Is Wasted - BossToaster (ChaoticReactions) - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

カップリングの欄にShip Teases everything という言葉が書かれている。カップリングはないけど、読もうと思えばそう読めるような作りになっているから、読者の好きなように読んで、という意味だろうか?

成人向け。

第5章にアニメ本編でよく見られる暴力を超えた表現がある、などのタグが付けられている。

シロは周りのキャラクターから父親みたいに見られているけど、シロは20代半ばの人だ。この話の第1章が好きだ。情報を得るためにシロは対象者を口説く。他のキャラクターが唖然としているところと口説いていたはずのシロが逆に口説かれているところが好きだ。

notesでピッジに関して触れられている。作者はピッジをジェンダーがない・ジェンダーの流動的なキャラクター、もしくは性別違和のあるキャラクターだと思う。ピッジはアニメの中で女の子だと自認しているため、作者はピッジに女性の代名詞を使う。

 

Royally Screwed - Demenior - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

カップリングはシロと男性のオリジナルキャラクター。 成人向けで露骨な性描写あり。

safe, sane and consensual(安全で、思慮分別があり、同意に基づく。BDSMの最も重要なルール、とのこと。私はBDSMに詳しくない)、Bottom(挿入される方)のシロなどのタグが付けられている。

シロの性的な話が読みたい、と思ったときに見つけた。pwpと書かれている通り、最初から最後まで性的な話だ。作者のnotesが好きだ。アニメ本編がいろいろと辛いので、シロが身体的にも精神的にも、とにかく甘やかされている話が読みたかった。

(少し気になったのは、オリジナルキャラクターがシロよりも権力があるので、話の中でいろいろな工夫をしても、権力の差を利用して性的な行為を強要する、という構造になってしまうんじゃないか、とは思った。この話の作者はそうならないように工夫しているように見えたけど。)

 

Trial by Ordeal - Chapter 1 - To Be or Not to- Oh forget it (Mikki) - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

13歳以上の読者向け。暴力の具体的な描写。

キャラクターの性格描写、キャラクターの来歴、児童虐待などのタグが付けられている。

notesにより詳細な注意事項が書かれている。

ランスとキースの子供時代について、作者の解釈が書かれている。アニメ本編の情報だけではキャラクターの背景を隙間なく埋めることは難しいと思う。ここまで詳細に書かれた話は珍しいと思う。

どこかの世界にはこういうキースやランスもいたかもしれないと思った。

この話には、残忍な大人はそこらにいるということや、そうではない大人がいることや、暴力はありふれていることや、家庭は犯罪の温床であることが書かれている。そういうことが物語に織り込まれていたので、最後まで読んだ。

 

The Ones Who Were Left Behind - Chapter 1 - ContreParry - Voltron: Legendary Defender [Archive of Our Own]

カップリングなし。13歳以上の読者向け。

完結していない。

アニメ本編でみんな宇宙に行ったまま地球に帰っていない。いなくなった子供たちを知る人たちがそれぞれに彼らを探し出そうとする話。オリジナルキャラクターがメイン。

この話はまだキースに関わる部分しか読んでいない。

キースのことを知っているオリジナルキャラクターはマリニという名前が付けられている。第5章、第10章、第15章に登場する。マリニの目を通して見るキースはとても子供らしい。

ギャラクシーギャリソンの図書館で、キースが顔を真っ赤にしてシロのことを話すシーンがとても好きだ。マリニがそういうキースを見て、からかったりしないで、ただマリニ自身の初恋を思い出しているのも好きだ。