つづり

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ユーリ!!! on ICE 感想 12話

ユーリ!!! on ICE 感想 12話

ヴィクトルは絶対に顔を歪めず、涙の滴を落とすような泣き方をする。

ヴィクトルも泣くんだ、と冒頭で勇利が言っているけど、見ているこっちも、わあ、ヴィクトルが泣いてる、と思ってぼんやり見ていた。あのセリフは勇利のものであり、視聴者のものでもあると思った。ヴィクトルが本当に泣くとは思わなかった。もっと感情が涙腺に影響しない人かと思っていたし、勇利の言葉にそこまで感情を動かされると思っていなかった。

視聴者全体がそう思ったかどうかは知らないけど、少なくとも私は、ヴィクトルも泣くのかと思って見ていた。勇利はヴィクトルと話をしている当事者なんだからもう少しなんかないんだろうかとか、なんで一視聴者みたいな反応してるんだとは思った。勇利は元々ヴィクトルのファンだからそういう傍観者みたいな反応をするのかもしれない。

ともかく、勇利の感情に欠けた声に、こういう話し方をすることは日常でもあるなと思って見ていた。

勇利とヴィクトルはお互いに相手を容赦なく振りまわしていて、自分は相手を振りまわしていることに気づかないまま、相手のことで悩んでいる感じがして、それはそれでちょうどいいふたりだと思う。

この会話のあとどうしたんだろう。同じ部屋にいるのって、すごく気まずくないか。あれこれ考えて眠れなくなりそう。

公式練習に勇利は参加しなかったと諸岡アナに言われている。公式練習は参加自由なんだろうか。

JJの回想であんなに怒ったのは初めてだったというセリフが入っていて、JJは周りの人に愛されて育ち、大きな挫折もなく(あとのコーチとのシーンを見ると葛藤とか悩みとかはあっただろうけど)ここまで来たのかと思った。もしそうだとしたら、そういう環境に恵まれたことを羨ましいと思った。

完結しない物語は魅力的な物語だ、という勇利は、もう終わりが近いと考えている自分のことをどう思っているのか。

ピチットオンアイスの中で、クリスはいるけど、ヴィクトルはいないのは、ピチットくんの中で現在大会に参加している選手が対象になっているからなのか、ヴィクトルとあまりしゃべったことがないか、接点がないからだろうか。

9話の空港で、これからコーチとして何ができるか考えた、プロポーズみたいだね、引退しなければいいのに、というヴィクトルのセリフは、言葉通り、これからもずっと勇利のそばにいたい、という意味で、勇利はそれをいい意味で受け取っていなくて、勇利は、ヴィクトルがGPFまでだと言ったのに、GPFのあとも勇利のコーチを続けて、選手に復帰しなさそうだと思っていて、それはいやだと思っているのか。

会場のカーテンを通り抜けるときに、視線が全然合わないし、距離が遠くて気まずい。

ヴィクトルはヴィクトルでいて、という勇利のセリフは4話でも言われていた。

勇利は終わりたくないとスケートをしながら考えているけど、それはヴィクトルに言わない。さよならと言いながら滑っているみたいだ。
競技者としてのヴィクトルを少しずつ殺していくとか、ヴィクトルがコーチになったことは無駄じゃないとか、そういうことをヴィクトルに言ってみてもいいんじゃないかと思った。
だれもかれも開けっぴろげで、思ったことを流ちょうに話せるわけではないとも思った。

ヴィクトルが11話で考えていたことは、これから勇利に何ができるか、ということだったので、12話で競技に復帰すると勇利に伝えたとき、ヴィクトルは何を考えていたんだろう。ヴィクトルはこのままコーチでもいいやと思っていたんだろうか。でも、勇利を通して新鮮な気持ちが云々、と言っていたので、選手を諦めていたわけではないのか?

クリスが感情を乱されているとき、ヴィクトルの回想にでてきた少年の頃のクリスみたいだった。怒って舌打ちして感情的になっているクリスが好きだ。

ミナコ先生はクリスが大好きだ。

オタベックの曲がかっこいい。オタベックのモノローグが好きだ。オタベックのモノローグは、自分自身に向けて、自分を鼓舞するためのものだと思うんだけど、同時にその言葉がそのままユーリに向けてのメッセージとして読み取れるように作られていて好きだ。

あとここのヴィクトルがひどいと思う。ユリオの試合前に、ヴィクトルが競技復帰するとか、勇利が引退するとか、動揺させるようなことを言う必要があったのかと思った。ユリオの性格からして、動揺して滑れなくなる、ということはあまりないだろうし、今回はうまくいったけど、それにしてもひどいと思った。

ヤコフはハグすれば助けてくれる、というヴィクトルのセリフがあるから、ここでヴィクトルがユーリにハグした理由は、なんでもいいから助けてくれと思ったのか、別にそうではないのか、よくわからない。それにしても、ユリオがいくらしっかりしてるからと言ってもまだ15歳なのに、大人のヴィクトルがすがるのもどうかと思う。

ユリオが前日のオタベックのように、オタベックの応援に応えるのが好きだ。ユリオのFSが好きだ。

12話でやっとユーリの勇利に対する感情が見える。
1話のトイレにいたユーリは、勇利のステップシークエンスを評価していて、名前の響きが似ていて気になっていて、勇利の後をついていったら、トイレで泣いているから、怒っていたのかと思う。ユーリはかっこいいものや強いものが好きで、その逆に、ユーリの中で弱いと思っていることが好きじゃなくて、ユーリの容姿がかわいらしいと思われていることや、勇利みたいにトイレでこっそり泣くことは、ユーリの中では弱いことに分類されているんじゃないかと思う。
ユーリは勇利が泣いていなかったら、どなるんじゃなくて、もっとちがう話をしてみたかったんだろうか。すごいと思った選手にはかっこよくいてほしかったんだろうか。

勇利はヴィクトルを超えられたら他はどうでもいいのか、とユリオが怒っていて、ユリオの言う通り、勇利は人生の半分以上がヴィクトルでできているようなところがあるから、勇利にとってヴィクトル以外はどうでもいいのかもしれない。

そういう狭い世界にいる勇利を、ユーリはこっちを見ろ、ヴィクトルがこの世のすべてじゃない、と憤慨しているみたいだ。

悔しくて泣きだすユーリは年相応に見える。

ヴィクトルのことはとりあえず脇に置いて、勇利は自分のスケートをどうしたかったんだろう。そういうことはあまり考えなかったのかな。1話から勇利はヴィクトルの話をしているし、ヴィクトルと自分のスケートを切り離せなかったから、ヴィクトルを基準にして、ヴィクトルが競技者に戻せなくなるくらいなら、ヴィクトルにコーチを続けてほしくないと思ったのか。

ヤコフはハグすれば助けてくれるというセリフ、ユーリのFS前に選手復帰を伝えたところ、銀メダルをもらったばかりの勇利に迫って今何考えたと言うところを見て、ヴィクトルは周囲の人を自分の思い通りの展開に持ち込むことに長けていると思った。ふたりの人がいて、片方の思い通りになるばかりだったら怖いと思うから、勇利がちっとも思い通りにならなくて、言うこと聞かない人で良かったと思う。

勇利とヴィクトルのエキシビションが見られてよかった。私はこれが見たかったんだと気付かされる。